「冬キャンプの寒さは、空気中からではなく『地面』から来る」
これを知らずに冬キャンプへ挑むと、どれだけ高価なダウンジャケットを着ていても、どれだけ焚き火で暖まっても、夜は寒くて一睡もできません。
多くの人が「まずはシュラフ(寝袋)を冬用に買い替えなきゃ」と考えがちです。
しかし、実はシュラフ以上に重要なのが「マット」なのです。なぜなら、体重で中綿が潰れてしまうシュラフの背中側には断熱効果がほとんどないから。
地面からの強烈な冷気(底冷え)をシャットアウトできるのは、マットだけです。
「じゃあ、どれを選べばいいの?」
その答えは「R値(熱抵抗値)」と「移動手段に合った種類選び」にあります。
この記事では、氷点下の冬キャンプでも朝までぐっすり眠るための「R値の基準」と、あなたのキャンプスタイルに最適な「最強マット」を厳選してご紹介します。
正しいマットを選べば、冬の朝、清々しい空気の中で目覚める最高の体験が待っていますよ。
冬キャンプにおける「R値」とは? 失敗しない目安
マット選びで最も重要なスペック、それが「R値(R-value)」です。
難しい物理の話は抜きにして、シンプルに覚えましょう。
「R値の数字が大きいほど、地面の冷気を遮断する力が強い(暖かい)」
R値が低いマット(夏用など)を冬に使うと、まるで氷の上に直に寝ているかのように体温が奪われ続けます。
冬キャンプに必要な「R値」の基準
日本の冬キャンプにおいて、快適に眠るための目安は以下の通りです。
- R値 4.0以上: 平地〜低山の冬キャンプ(最低気温 -5℃程度まで)
- R値 5.0〜6.0以上: 雪中キャンプ、高地、極寒地(最低気温 -10℃以下)
「R値3.0」くらいだと、秋までは快適でも真冬は背中がスースーして目が覚めてしまう可能性が高いです。冬用として買うなら、迷わず「4.0以上」を目安にしてください。
ASTM規格(世界統一基準)を選ぼう
近年は「ASTM F3340-18」という世界統一の検査基準が設けられています。
Amazonなどで売られている格安マットの中には、メーカー独自の「自称R値」を表示しているものもあります。
失敗したくない方は、このASTM規格に基づいた数値を公表している信頼できるメーカー(サーマレスト、NEMO、シートゥサミット、WAQ等)を選ぶのが鉄則です。
あなたに向いているのは? マット3大種類のメリット・デメリット

「R値が高ければ何でもいい」わけではありません。
車で行くのか、バックパック一つで行くのかによって「運べる大きさ」が違うからです。
冬用マットは大きく分けて3種類あります。自分のスタイルに合うものを選びましょう。
| 種類 | 断熱性 (R値) | 収納サイズ | 設営の手間 | おすすめのスタイル |
| ① エアーマット | ◎ (高い) | ◎ (最小) | △ (空気入れ必須) | 徒歩・バイク・リュック移動 |
| ② インフレータブル | ◯ (普通〜高) | △ (大きい) | ◯ (自動膨張) | 車移動・オートキャンプ |
| ③ クローズドセル | △ (低い) | ◯ (外付け) | ◎ (1秒) | 全キャンパー (重ね使い用) |

【エアーマット編】軽量&高R値!冬のバックパック・バイク派におすすめ
空気を入れて膨らませるタイプです。中綿や熱反射板が入っているモデルは、驚くほど軽量なのに魔法のように暖かいのが特徴。
「荷物は軽くしたいが、寒さには妥協したくない」というソロキャンパーに最適です。
WAQ「ウルトラライトエアマット」
R値: 6.8(マミー) / 7.0(スクエア)
特徴: 【コスパ最強のニュースタンダード】 「R値7クラスのマットは3〜4万円する」という常識を覆した、日本ブランドWAQの傑作です。 4層のアルミシート構造で冷気を遮断し、真冬のキャンプでも余裕の暖かさ。重量も600g台(マミー型)と非常に軽量です。「高スペックな冬用マットが欲しいけど、海外製は高すぎる…」と悩んでいたキャンパーにとって、これ一択と言えるほどの正解マットです。
サーマレスト「ネオエアーXサーム NXT」
- R値: 7.3
- 特徴: 冬のソロキャンパーの神器。「迷ったらこれを買っておけば間違いない」と言われる最高峰モデルです。R値7.3という驚異的な暖かさを持ちながら、収納サイズは1リットルのペットボトル程度。雪の上でも背中がポカポカする感動を味わえます。
NEMO「テンサー オールシーズン」
- R値: 5.4
- 特徴: エアーマット特有の「寝返りのガサガサ音」を極限まで抑えたモデル。静かに眠りたい人におすすめです。内部の構造が工夫されており、フワフワしすぎず安定した寝心地が得られます。
【インフレータブル編】極上の寝心地!車移動のソロ・デュオにおすすめ
中にウレタンフォームが入っており、バルブを開けると自動で空気を吸って膨らむタイプです。
収納サイズは大きくなりますが、「家のベッドに近い寝心地」と「設営の楽さ」は最強。
積載に余裕があるオートキャンパーならこちらが正解です。
シートゥサミット「キャンププラスS.I.マット」
- R値: 4.3
- 特徴: 内部のウレタンを肉抜き加工することで、インフレータブルにしては比較的コンパクトに収まります。「寝心地は欲しいけど、荷物は少しでも減らしたい」というわがままを叶えるバランス型。
WAQ「インフレータブル式マット 8cm」
- R値: 6.0相当(メーカー公表値)
- 特徴: 楽天やAmazonで爆発的に売れている高コスパマット。厚さ8cmの極上のクッション性があり、腰痛持ちのキャンパーからも支持されています。R値も高く、冬キャンプデビューの最初の一枚として最適。
コールマン「キャンパーインフレーターマット ハイピーク」
- R値: 非公表(極厚のため冬も対応可)
- 特徴: 厚さ10cmという圧倒的なボリューム。もはやベッドです。断熱性も高く、地面の冷たさを微塵も感じさせません。デュオなら「ダブルサイズ」を選ぶのもあり。
【クローズドセル編】底冷えシャットアウト!「重ね技」用の名脇役
パタパタと折りたたむだけの蛇腹式マット。
単体でのR値は2.0前後と低いため、真冬にこれ一枚で寝るのは危険です。しかし、こいつの真価は「メインマットの下に敷く」ことで発揮されます。
- R値の底上げ: メインマットのR値に+2.0できる(例:R4.0+R2.0=R6.0の最強環境に)。
- パンク防止: エアーマットの下に敷くことで、石や枝によるパンクを防ぐ。
冬キャンプでは「お守り」として必ず持っていくべきアイテムです。
サーマレスト「Zライトソル」
- R値: 2.0
- 特徴: 全キャンパーが一度は通る道。アルミ蒸着加工が体温を反射し、数値以上の暖かさを感じます。耐久性も抜群で、ラフに使っても壊れません。
Mozambique(モザンビーク)「キャンプマット」
- R値: 2.6相当
- 特徴: サーマレストより安価で、落ち着いたアースカラーが魅力。アルミ加工もしっかり施されています。「サブマットだからコスパ重視で」という方におすすめ。
冬のマット利用の注意点
ここで、私から2つだけアドバイスをさせてください。
① エアーマットは「ポンプサック」で膨らませよう
冬場、エアーマットを口でフーフー膨らませるのはNGです。呼気に含まれる湿気がマット内部で冷やされ、氷となって断熱材の性能を落としたり、カビの原因になったりします。
必ず付属の「ポンプサック(スタッフバッグ兼ポンプ)」や「エアポンプ」を使って、乾いた空気を入れるようにしましょう。
② 「ワイドサイズ」は暖かさに直結する
もし体格が良いなら、標準(レギュラー)幅ではなく「ワイド幅」を選んでください。
せっかくR値が高いマットでも、寝返りではみ出した腕や足先が地面に触れると、そこから強烈に冷えて目が覚めます。冬こそ、サイズ選びは慎重に。
まとめ
冬キャンプのマット選びは、命を守る装備選びと言っても過言ではありません。
- R値は「4.0以上」(寒冷地や雪なら5.0以上)を目安にする。
- バックパック派は、R値の高い「エアーマット」。
- 車派は、寝心地抜群の「インフレータブルマット」。
- さらに「クローズドセルマット」を重ねれば、無敵の暖かさが手に入る。
もし今、「手持ちのマット(R値3.0くらい)を活かしたい」なら、まずは「Zライトソル」などのクローズドセルマットを一枚買い足して重ねてみてください。 それだけで、劇的に暖かく眠れるようになりますよ。
しっかりと「底冷え対策」をして、冬ならではの澄んだ空気と満天の星空を楽しんできてくださいね!

